カカオトークのシークレットチャットは何を守るのか|隠すと減るもの
カカオトークの安全に関する案内を読んでいると、「大事な話はシークレットチャットで」という一行に何度も出会います。ところが、その一行だけが置かれていて、切り替えると実際に何が変わるのかまでは書かれていないことがほとんどです。守れるものが増えるのは確かですが、増えない部分と、むしろ減る部分もあります。この記事では、カカオトークのシークレットチャットが引き受けている範囲を区切り、自分から選ぶ場合と相手から提案された場合で意味がどう変わるのかを整理します。
シークレットチャットが守っているのは「届くまでの区間」
カカオトークのシークレットチャットは、端末側に置かれた鍵でしか内容を読めない形式のトークです。通常のトークでも通信そのものは暗号化されていますが、シークレットチャットでは保管されているあいだも暗号化された状態のままで、平文では残らないとされています。
つまり、この機能が引き受けているのは自分の画面と相手の画面のあいだの区間です。暗号化の方式そのものの比較は秘匿性を扱った記事に、切り替え方の手順はセキュリティ設定の記事にそれぞれまとめてあるので、ここでは繰り返しません。
大事なのは範囲の話です。守っているのは通り道であって、相手ではありません。ここを取り違えると、「秘密のトークにしたから安心」という判断が、実際には何も担保していない場面が出てきます。
変わるもの・変わらないものを分けて見る
気になりやすい項目を並べると、シークレットチャットで扱いが変わるものと、通常のトークとまったく同じものがはっきり分かれます。
| 気になること | シークレットチャットにすると |
|---|---|
| 通信の途中で内容を見られないか | 変わる(端末の鍵でしか読めない形式になる) |
| 保管されているあいだに内容が残るか | 変わる(平文では残らないとされています) |
| 自分と相手以外が内容を読めるか | 変わる |
| 端末を開ける人に画面を見られるか | 変わらない(画面ロックで防ぐ領域) |
| 相手が内容を誰かに話すか | 変わらない |
| 相手が画面を撮る・内容を転送する | 変わらない(撮ること自体を止める機能ではありません) |
| あとから自分が読み返せるか | むしろ減ることがある |
上の三行だけが、この機能の担当範囲です。下の四行は、トークの種類を変えても何も動きません。相手の画面に届いたあとの扱いはこちらから操作できないという点は、通常のトークと共通です。そして最後の行だけ、向きが逆になっています。
誰が言い出したかで、同じ提案が別の意味になる
同じ「シークレットチャットにしよう」という提案でも、言い出したのが自分か相手かで、変わるものが入れ替わります。
自分から選んだ場合、守られるのは自分が書く内容です。隠したいものと隠す手段が一致しています。一方、相手から提案された場合、変わるのは自分の守りではありません。残りにくくなるのは、相手がこれから書くほうの内容です。
同じ機能が、安全対策の文脈では「活用しましょう」と勧められ、家族やパートナーの様子を心配する側の記事では「急に使いたがるようになった」という気になる変化として扱われるのは、このためです。機能そのものに善悪はなく、誰が何を隠すために使うかで意味が決まります。
掲示板やオープンチャットで知り合ったばかりの相手から提案されたのであれば、理由を聞いて構いません。「どうしてこの話だけ場所を変えるのか」に答えが返ってこない場合は、急いで移らなくても困ることはありません。
「移動しよう」という提案の一種として並べる
やり取りの場所を変える提案は、カカオトークを使っていると何度か出てきます。並べてみると、シークレットチャットへの移動だけが特殊な位置にあることが分かります。
| 提案の形 | こちらが渡すものが増えるか | 記録の残り方 |
|---|---|---|
| 別のアプリに移ろう | 増える(新しい連絡先が一つ) | 移った先の仕様に変わる |
| 連絡先を教えて | 増える | こちら側は変わらない |
| 通話で話そう | 増えない | 文字としては残らない |
| シークレットチャットに移ろう | 増えない | 残りにくくなる |
別のアプリへ誘われたときに警戒しやすいのは、渡すものが目に見えて増えるからです。その点、シークレットチャットへの移動は何も渡さずに済むので、断る理由が見つかりません。別アプリへの誘いについては専用の記事を用意しているので、そちらも参考にしてください。
ただし、渡すものが増えないことと、こちらに不利がないことは別です。見るべきなのは右の列で、渡さずに済むかわりに残らなくなるのがこの提案の中身です。移動の誘いは「何を渡すか」と「何を残すか」の二つの軸で見ると取りこぼしが減ります。
秘密にすると、あとから示せるものが減る
トラブルの相談先を扱った記事でも、通報や問い合わせを扱った記事でも、最初に案内されるのはたいてい「やり取りを残しておきましょう」です。残りにくい形式は、この案内と正面からぶつかります。
具体的には、次の三つが目減りします。
- 誰かに相談するときに示せるもの — 状況を説明する材料が自分の記憶だけになります
- 自分で読み返して確かめる手段 — 言った言わないになったとき、確認する先がありません
- 端末を替えたときに持ち越せるもの — 端末側の鍵に依存する形式である以上、別の端末で同じように読めるとは限りません
これは欠陥ではなく、そういう設計です。内容を守ることと記録を残すことは、そもそも逆を向いています。両方を最大にする設定は無いので、守りたいのが「内容」なのか「記録」なのかを先に決めるほうが早く片づきます。なお、残す側にも限界があり、画面を撮っても写らないものがあるという話は証拠の残し方を扱った記事に譲ります。
迷ったときの一問は「あとで読み返す必要があるか」
相手が信用できるかどうかを決めてから選ぼうとすると、いつまでも答えが出ません。画面に並んでいる情報だけでは相手の素性は確定できないからです。代わりに、自分の側だけで答えが出る問いを置きます。
この会話は、あとから自分が読み返す必要があるか。
読み返す必要がないと言い切れる雑談であれば、どちらの形式でも困りません。反対に、次のような内容を含むやり取りは、通常のトークのままにしておくほうが安全です。
- 待ち合わせの日時や場所、約束ごと
- お金や品物のやり取りに関する話
- 相手が名乗った素性や、こちらが伝えた個人情報
- あとで様子がおかしいと感じたときに、経緯を説明する必要が出そうな話
この問いの利点は、相手が善意でも悪意でも答えが変わらないことです。相手が本当にプライバシーを気にしているだけでも、約束や金銭の話を読み返せなくなる不便は同じように起きます。材料を相手側に求めずに済むぶん、迷う時間が短くなります。
まとめ
カカオトークのシークレットチャットが引き受けているのは、内容が自分と相手のあいだを通って保管されるまでの区間です。端末を見られること、相手が誰かに話すこと、画面を撮られることは、トークの種類を変えても動きません。そして読み返せる度合いだけは、切り替えることで下がります。
自分から選ぶなら、それは自分の書いたものを守る選択です。相手から提案されたときは、残りにくくなるのが相手の発言のほうだという点を思い出してください。迷ったら、あとから読み返す必要があるかを自分に一度だけ聞けば十分です。
当サイト「カカオトーク友達募集掲示板」では、カカオトークの友達を安全に募集できます。やり取りを始めたばかりの相手とも、無理のない距離感で進めていけるよう、ぜひご活用ください。